『ソマイア・ラミシュ詩集 私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気: madness of geography in my veins』
たった一人の詩人の呼びかけに世界が応じた
アフガニスタン国内における「詩作禁止令」、そして女性の人権が著しく奪われることに抵抗するバームダード(亡命詩人の家)の創始者、詩人ソマイア・ラミシュ(Somaia Ramish)の日本で初めての訳詩集です。
彼女の呼びかけに応じ、抵抗への連帯を表明する世界各国の詩人たちが送った詩作品を纏めたアンソロジー詩集『NO JAIL CAN CONFINE YOUR POEM 詩の檻はない』が2023年8月15日、最初に日本で出版されました。これを皮切りにフランス、オランダでも発行され、イタリア、モロッコでも準備が進められています。
ソマイア・ラミシュの詩篇「madness of geography in my veins(私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気)」(訳:岡和田晃・木暮純)の他に、アフガニスタン人である彼女による村上春樹作品の書評「人生とは一つのメタファーである!—村上春樹『海辺のカフカ』への眼差し」(訳:中村菜穂)、2023年12月来日時のシンポジウムでの質疑応答「レポート: アフガニスタンと日本の詩人による知性対話 言論の自由と女性の地位、社会の解放について」(初出「詩と思想」2024年6月号)、激動するアフガニスタンの情勢の中で、国境を超えて困難な時代を生きる亡命詩人の略歴も収録。
書籍名:
『ソマイア・ラミシュ詩集 私の血管を貫きめぐる、地政学という狂気: madness of geography in my veins』
著者:
Somaia Ramish
編訳:
岡和田晃
翻訳:
中村菜穂、木暮純、野口壽一、金子明
編集:
柴田望
出版社:
バームダード(亡命詩人の家)/デザインエッグ社
発売日:
2024年11月03日
判型/ページ数:
14.8 x 0.43 x 21 cm/74ページ
価格:
本体1091円+税
ISBNコード:
978-4-815-04513-5
著者経歴:
ソマイア・ラミシュ(Somaia Ramish)
1986年、アフガニスタン、ヘラートの伝統的な家庭に生まれる。過去20年間、アフガニスタンで詩人、作家、ジャーナリスト、社会活動家として活躍。
幼少期より戦火に見舞われ、移民としての暮らしや亡命を余儀なくされた。内戦や政治的・経済的な危機のために家族が移住を決心したとき、彼女はまだ子どもだった。イランで移民として過ごした。こうした経緯から、しばしば教育を受けられない期間があり、無国籍の人間としてあること、そして差別の辛酸を味わった。第一期ターリバーンの敗北時(2001年11月)、ソマイアはアフガニスタン本国で勉強したいと家族に強く要請した。家族は彼女の夢をかなえるため帰国を決意した。
2003年にアフガニスタンへの帰国が実現、学校へ通いながら、若くして詩や新聞・雑誌の記事を執筆、社会運動にも参画し始める。アフガニスタンで民主主義が実現された二十年間、ソマイア・ラミシュの名はジャーナリスト、女性の権利擁護者、国民の代表として知られていた。
その間結婚し、双子の子をもうけた。2021年、アフガニスタンが再びターリバーンの手に落ち、家族とともにオランダに亡命。亡命生活においても失望することなく人権活動を継続。教育を受ける権利、特に女性と少女の教育を受ける権利のために活動。
亡命先のオランダにおいて「バームダード、亡命詩人の家(Baamdaad, House of Poetry-in-Exile)」(注:バームダードとはダリー語で「暁」)を設立し、アフガニスタン内外で、ターリバーンによる文学的・芸術的試みに対する検閲と弾圧に反対する抗議運動の先頭に立っている。この運動は、2023年1月にターリバーンによって課せられた詩作や表現の禁止令の対象とされているアフガニスタンのアーティストや詩人と連帯して、世界中のアーティストや詩人を団結させる希望の光として機能している。世界中の詩人たちにこの闘いに連帯するよう呼びかけた結果、世界各国の著名な詩人たち・実力確かな詩人たちが彼女の大義に賛同し、百編以上の詩を寄せた。