『層 ―映像と表現』vol.9
2016年9月30日発売 | 岡和田晃、樺山三英ほか(著) | ゆまに書房
特集1=世界内戦と現代文学―創作と批評の交錯― 特集2=忍者と探偵が出会うとき
「層」は、北海道大学大学院文学研究科 映像・表現文化論講座が編集する査読付学術誌です。
近年、文化研究の場、特に若い世代のなかで映像や図像の地位が高まっています。そして、映画・写真・図像・マンガ・アニメなど映像に関わる事象を、日本・アジア・欧米の文化理論、思想史的研究、文学研究等と交錯させ、さらに映像と言語表現を取り巻く社会的、文化的環境に関する諸問題を併せて究明することのできる場が求められています。このような要望に応えるべく、従来の学問領域や枠組みにとらわれない、横断的な研究の発表媒体として、本誌『層』は創刊されました。
『層 ―映像と表現』というタイトルの「層」には、複数の領域の重なりという意味と、硬直化したアカデミズムに地殻変動を起すための裂け目といった意味が込められています。
vol.9は、SFを扱った【特集1=世界内戦と現代文学―創作と批評の交錯―】、ミステリを扱った【特集2=忍者と探偵が出会うとき】に加え、三本の自由論文と一本の書評が掲載されています。
【特集1=世界内戦と現代文学―創作と批評の交錯―】は、日本SF作家クラブの公式サイトでも告知された「日本近代文学会・二〇一四年度秋季大会(二〇一四年一〇月一九日、広島大学)のパネル発表(http://sfwj.jp/events/kindaibungaku2014aki-okawada-20141019.html)を再構成したものとなります。
【特集2=忍者と探偵が出会うとき】は、二〇一五年八月一日に甲南女子大学で行われた研究発表にもとづきます。
【特集1 世界内戦と現代文学―創作と批評の交錯―】
- 三島由紀夫以後・中上健次以後・伊藤計劃以後 柳瀬善治
- 「世界内戦」下、「伊藤計劃以後」のSFに何ができるか――仁木稔、樺山三英、宮内悠介、岡田剛、長谷敏司、八杉将司、山野浩一を貫く軸 岡和田 晃
- 実作の立場から見るユートピア文学 仁木 稔
- 世界内戦と「わたし」たち 樺山三英
- 複数の「世界内戦」に向けて 押野武志
【特集2 忍者と探偵が出会うとき】
- 忍者から探偵へ/過渡期のロマンを検証する――山田風太郎『警視庁草紙』を手がかりに 谷口 基
- 少女マンガに引き継がれた忍者表象――和田慎二『スケバン刑事』の戦略 小松史生子
- 「日常の謎」と隠密――瀬川コウ『謎好き乙女と奪われた青春』論 諸岡卓真
- 堀田善衞『広場の孤独』論――二〇世紀における政治と知識人 水溜真由美
- 映画の犬――『ホワイト・ドッグ』『シーヴァス』をめぐって 阿部嘉昭
- 意想外なものの権利――今井正監督の文芸映画『山びこ学校』と『夜の鼓』 中村三春
【書評】
- 木下千花著『溝口健二論――映画の美学と政治学』 川崎公平
書誌データ
- 書籍名:『層 ―映像と表現』vol.9
- 著者:岡和田晃、樺山三英(ほか)
- 出版社:ゆまに書房
- 発売日:2016年9月30日
- 判型/ページ数:A5判並製/228ページ
- 価格:本体1800円+税
- ISBNコード:978-4-8433-5117-8
- Webサイト:『層 ―映像と表現』vol.9 | ゆまに書房